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昭和初期の市井の映像復元記

年明け早々着手した、「絆・家族登山1936〜1939日本アルプス」の復元作品が完成しました。1936年(昭和11年)といえば、日本が歴史の曲がり角に立たされた2・26事件(陸軍青年将校による軍事クーデター)に端を発し、日本が軍国主義へと突き進んだ時代で、ガソリンをはじめあらゆる生活物資が統制され、ついには女性のパーマネントまでが禁止され、国家総動員が施行されるなど、国民受難の.時代の幕開けでした。

映画がまだ「活動写真」とも呼ばれ、一般市民がムーピーカメラを所有して撮影するなど、とても考えられない時代でしたから、私たちが目にできた記録は、国策的なニュースが殆どで、ここに復元した「常念・槍・穂高」、「御岳・中央アルプス」、「八ヶ岳・南アルプス」各編は、実に貴重な記録だと思われます。

撮影機はフランス製のpathe9.5个如■隠坑械廓ごろ、貿易商だった伴野文三郎氏の手で輸入された、ゼンマイ駆動のB型で、かなり高価なものだったようです。また、撮影者が、旧制高校生というのも驚きです。故N氏は、絵画や写真が趣味で、黄色や赤のフィルターを駆使し、当時にしては実に芸術的カットを撮っているのも、興味深いところです。

しかし、復元編集をしていて感動させられたのは、登山用具もろくになく物資も欠乏した時代、普段着に近い服装で、3千m級の山々によじ登る豪快さと、モンペ姿のうら若い女性をふくめた家族の強い『絆』が、険しい山岳行をとおしてひしひしと感じられたことで、日常的に我々が観ている、ハイビジョンの大型画面とはまた異なる不思議な迫力が伝わってきます。実に貴重な内容だと思われますので、一人でも多くの方に是非とも観ていただければと思っています。

復元作業はまだ第一歩ですが、想像していたとおり、まさに「映像の玉手箱」を開いた実感で、この歴史的・文化的に価値の高い映像をどうやって次世代に伝えられるか、思案しています。

                 石神 淳 映像工房 比留間亨一